Japan as Number One?

 昨年の4月の終わりからオハイオに来て、もうすでに11か月が経とうとしています。私の留学生活も残り約1週間足らずとなりました。ついこの間まで春休みで、カリフォルニア州のロサンゼルス市に旅行に行ってきました。夏休みに数日間ニューヨークにも行ってきましたが、ロサンゼルスはニューヨークよりも比較的治安が良いかなーという印象でした。もちろん場所によっては「あ、ここ危なそう」って感じることもありましたけど。サンタモニカ・ディズニー・ハリウッドをメインに回りましたが、オハイオに比べて温暖な気候でとっても過ごしやすかったです。ただ日中と夜間の気温差が大きいので、この時期にLAに旅行に行く人は何枚か羽織るものを持っていくべきかな。

 今は極寒のオハイオに戻ってきました…。極寒と言うのは言い過ぎで、実はオハイオもこの時期になると5度前後の日が続きます。未だにコートは必須ですが、日差しが出るとだいぶ春の雰囲気を感じれるようになってきました。さてさて、今日の本題。今日は留学生や海外旅行者等、海外経験者の中でよく聞かれる"やっぱり日本が一番"説について書いてみたいと思います。

 

-やっぱり日本最高-

「日本ってやっぱり恵まれてる」

「日本がやっぱり1番だよね」

「日本に生まれて良かった」

 

 海外経験者の中で結構頻繁に聞かれる言葉かなと思います。海外で一定期間生活した人が日本のコンビニや日本食、公共交通機関、公共施設の清潔さなどなど、日本に対する誇りをより強く感じるようになることは珍しいことではないはず。

 

 ただ、日本食の美味しさや24時間営業のコンビニ、時間に正確な公共交通機関の存在から「日本が1番である」と結論付けて良いのかなと、ちょっともやもやした気持ちになります。とういうのも、多くの日本人は留学や海外旅行経験があっても圧倒的に日本で生活した年数が多いわけで、大抵その人たちの五感は日本化されているはず。長期間日本の社会、日本の文化の中で生きてきていれば、考え方や習慣、味覚や嗜好はきっと日本人の平均値に近づいていくと思います。日本文化・社会への"慣れ"や"あたりまえ化"と言っても良いかなと...(社会学用語だと"社会化"が当てはまるかな)。24時間コンビニはあって当たり前、納豆だって和菓子だって子どもの時から食べてきた大好物。(もちろん個人差、地域差はあると思うけど。)

 

 そんな慣れた世界から一歩出て、海外で生活してみると、なんとびっくり。今まで慣れ親しんだ和食なんてそう簡単に食べれるものじゃないし、コンビニなんて町に一個あればラッキー。慣れた環境から一歩出た世界はとっても不便に感じるに違いない。でも実は、その不便に感じる世界は小さい時からその場所で住んできた人にとっては不便どころか、慣れた便利な環境なんだと思います。コンビニが無いのは当たり前だし、和食じゃなくてピザとかハンバーガーを食べれれば十分幸せ。

 

-「やっぱり日本一番」の発想に潜むエスノセントリズム-

 こんな感じに私の留学しているアメリカで考えても、自分にとってアメリカの環境はちょっとストレス感じるアンコンフォートゾーンでも、逆にアメリカ人にとってはアメリカの環境がコンフォートゾーン。"自分のコンフォートゾーン"=No.1とするのは、とっても危うい考え方かなと思います。自分さえ心地良いと思えればその環境は世界で1番の環境でしょうか?この思考はエスノセントリズム(自文化中心主義)につながりかねないとちょっと恐怖感を感じます。

 

留学生の中にも実際、数か月または数年間の海外生活を終えて一言、「やっぱり日本が1番だわ」という感想をちょろっと言ってしまう人が一定数いると思います。個人的に別にその感想を持つことが悪いことだとは思いません。だって、長年住んできた日本がコンフォートゾーンであることは正直当たり前で、逆に20歳で初めてアメリカに行って日本よりアメリカの方が居心地良いなって思う人って少数派な気がします(アメリカに10年前後住んでたりしてアメリカで再社会化できる人もいるとは思うけど)。日本が一番と思うことはある意味しょうがないし、そう思って当たり前。でもそこから日本文化や日本社会が世界中で1番だと思ってしまうのはあまりに浅はかで危険な発想だと思います。

 

日本文化は私のコンフォートゾーン、アメリカ文化はあなたのコンフォートゾーン。どっちがBetterもWorseもない。「日本の方が俺にはあってるけど、君の文化もなんか素敵じゃん」っていう感想が個人的には好きかな。

 

ps. ちなみにタイトルの「Japan as Number One」は日本の高度経済成長の要因分析と、日本社会や日本人の特性について書いた名著。40年くらい前に出版されたみたいですが、ちょっと今回の投稿に良い感じにマッチしてたのでタイトル拝借しました。